BCPを策定する上で、大規模災害やテロ、事故などの危機的な状況が発生した場合、有事を各フェーズに分けることで、フェーズごとに重要なポイントをしっかりと見極めることができます。そこで、経済産業省や厚生労働省が分類するフェーズについて詳しくご紹介します。
経済産業省が分類するフェーズと、それぞれのフェーズのポイントについて解説します。
まずは緊急事態が発生または発生した可能性があることを検知したタイミングで、事実関係の確認を行い、BCPの実行が必要かを判断するフェーズです。
BCPを実行する場合はできるだけ早いタイミングでBCPの実行が必要な旨を経営者やリスクマネジメントを統括する部署の責任者などへ伝えて基本方針の決定などを行います。
BCPを発動してから通常の業務の方法とは異なる代替手段によって業務を再開し、軌道に乗せるまでがこのフェーズのポイントです。
代替手段の決定や確実な切り替え、緊急度の高い業務の業務をいかに早く再開できるかが重要です。
緊急度の高い業務を再開させた後、業務の再開範囲を広げるためのフェーズです。設備や業務を進めるための手順や方法などが、通常と違うなかでいかに、円滑に業務範囲を広げるかというところが重要なので、現場の混乱にも配慮することが、重要なポイントです。
全面復旧したと判断し、代替手段から通常の業務手段へ切り替えるフェーズです。ここで大切なのが、全面復旧したかどうかの判断です。業務の遂行や現場の混乱を引き起こす可能性があるため、全面復旧の判断には慎重を期すことになります。
厚生労働省が分類するフェーズと、それぞれのフェーズのポイントについて解説します。
災害や事故の発生または発生の可能性を検知してからBCPを実行するか否かを判断し、BCPを実行すると判断した場合は、以下の対応を行います。
ここで重要なのは、情報を集めてBCPを実行するか否かを慎重に判断するところです。
BCPを発動後、通常とは異なる代替手段によって重要な業務から順に業務を再開するフェーズです。代替手段への確実な切り替えと、復旧作業の推進、業務が滞りなく進められているかの確認が重要です。
とても重要な業務が再開後に、さらに業務範囲を拡大するためのフェーズです。通常とは異なる状況の中で、現場が混乱している状況を踏まえ、拡大範囲の見極めなどが非常に大切となります。
全面復旧を確認後、代替手段から通常の業務へ切り替えを行うフェーズです。ここで重要なのは、「全面復旧をした」という判断です。判断が誤っていた場合には、さらなる混乱を引き起こす可能性が高いため、判断は慎重に行う必要があります。
BCPはいつどのようなことが起こるかわからないものに対する計画なので、心配がない訳ではありません。実際に有事が発生した場合に、各フェーズにおいて予め策定したBCPの基本方針で問題ないかを適宜見直すことが重要です。
そして、全面復旧後も次にいつ起こるかわからない有事に備えて見直しが必要となります。その見直しを行うタイミングを知るためにも、各フェーズについてしっかり理解を深めましょう。
災害対策の初動に差をつけると注目をあつめているのが、企業向けの災害情報システムです。各地で起こっている災害や事故情報を報道より先に受け取ることで、「現場で今、なにが起こってるのか」「次にすべきことはなにか」を把握できるため、防災はもちろん、事業継続(BCP)対策の観点から注目を集めています。