医療・介護・福祉サービスは、患者さんや要介護者、その家族を支えるために必要不可欠であり、災害の発生によってそのサービスが停滞してしまわないような対策が必要です。そこで、地震や台風、風水害といった大規模な自然災害やテロといった災害の発生に備えて、平時から対策をしておくことが重要と考え、ガイドラインを策定することとなりました。
病院や介護サービス事業者は、医療・福祉サービスを提供するにあたり、災害時にも患者や利用者の安全確保が最優先となります。患者・利用者の安全性を守るために必要なことを考え、しっかりと対策を取ることが重要です。
災害などによって医療や介護サービスが滞ってしまうことで、命の危険に繋がるかたもいます。そのため、災害が発生した場合でも医療や介護サービスが滞らないようにするために必要な設備の設置や体制づくりが求められます。
患者・利用者の安全性も大切ですが、どこで働く職員の安全確保も最優先に行わなくてはなりません。また、災害発生後は長時間の労働や精神的なダメージが大きいなど、職員の労働環境が過酷になることも想定されます。そのため、過重労働やメンタルケアも必要です。
病院や施設が被災していないことが前提ですが施設を十分に活かして被災者や地域貢献をすることも重要な役割です。そのため平時からどのような事ができるかを考えておくと良いでしょう。
災害対策の初動に差をつけると注目をあつめているのが、企業向けの災害情報システムです。各地で起こっている災害や事故情報を報道より先に受け取ることで、「現場で今、なにが起こってるのか」「次にすべきことはなにか」を把握できるため、防災はもちろん、事業継続(BCP)対策の観点から注目を集めています。
埼玉県で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人かがやきでは、震災編、水害編、新型インフルエンザ等の感染症編とそれぞれBCPを策定しています。
それぞれ動きは異なるものの、目的としては利用者・職員の安全性を守ること、早期の事業再開を目指すこと、地域と連携することなどを柱としています。災害発生から30分以内に、事業再開を目指すフローが確立しています。
山形県酒田市にある日本海総合病院では、庄内地方の災害拠点病院として「職員の最低限の生活と安全性、健康を守ること」「大規模災害が発生しても継続して医療提供を行い、地域の命と健康を守ること」「病院機能の維持・早期復旧に努力すること」を柱にしています。
また、災害発生時に人員を確保するために、職員の居住地から病院へ参集できる人数の算出をし、初動でどのような対応ができるかをしっかりと考慮しながら作っています。
福岡県春日市にある福岡徳洲会病院では、事業の停止が許されない災害拠点病院として、「事前の備えによる対応力の低下を抑制」「業務の早期普及」「災害拠点病院を訪れる患者数を抑制」という4つを柱にBCPを策定しています。
また、例えば大地震の場合は災害カルテを使用し、通常外来と予定手術は中止、負傷者は院内トリアージを行うなど、災害レベルに応じた新規の患者数とその災害レベルに応じた行動についても対応を分けています。