教育機関のBCP(事業継続計画)対策は、地震や津波といった自然災害に遭遇した際、学校などが児童や生徒への被害を最小限にとどめ、施設をすみやかに復旧できるよう考えられたものです。
BCP対策については、文部科学省が「学校防災マニュアル」作成方法のガイドラインを公開しています。
学校施設・教育機関でBCP対策を行う場合には、次のようなポイントが重要になります。
学校施設・教育機関では、児童や生徒の安全確保がBCP対策におけるまず第一の課題となります。
非常時に児童や生徒がすぐ対応できるように、日頃から避難訓練・消防訓練などを行うこともBCP対策の一環といえます。
学校などの教育施設は児童や生徒が学ぶ場所であるだけでなく、その地域社会にとっての文化的な拠点という役割も担っています。
災害時には避難所として使用されることも多いため、BCP対策として地域社会への支援も大切な要素となってきます。
自然災害の影響によって避難生活が長期にわたることも考えられます。
その場合、児童や生徒が安全を確保された中で教育を継続できるよう、さまざまな配慮が必要となります。例えば、近隣している学校と連絡を取り合い、一時的な場所の提供を受けるといった教育の継続方法もあります。
災害と入学式や卒業式などの行事が重なった場合、どのように対処するかも事前に取り決めておくのが賢明です。
ここでは文科省が公開している「学校防災マニュアル」作成の手引きをもとに、BCP対策について解説します。マニュアルの注意点や、特別支援学校のマニュアル作成についてもふれています。ぜひ参考にしてみてください。
※参照元:【pdf】学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き|文部科学省(https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/__icsFiles/afieldfile/2018/12/04/1323513_01.pdf)
日本は自然災害の多い地域であり、いつ地震や津波が起こるかわかりません。災害時、登校中の児童・生徒を安全に保護するためにも、また、学校施設が避難所に指定されるケースも少なくないことから学校防災マニュアルが作成されるようになりました。
具体的には、災害が発生した際、教職員一人ひとりがどのような役割を果たすのか、役割分担をしたり、学校の防災体制を確立することを目的としています。さらには家庭や地域にも地震や津波への防災意識を広めるといった意図も備わっています。
防災マニュアルを実際に使用する時、電話や電気がいつも通りに使えるとは限りません。場合によっては長期間にわたって電話や電気が使えない可能性もあります。
そのため防災マニュアルを作成する際には、電話やFAX、インターネットやメールなどの連絡手段が使えないことを前提で考えなくてはなりません。
また、実際の災害では防災マニュアルを持って避難することが難しい状況も考えられます。こうしたことから防災マニュアルは単純でわかりやすい内容であり、かつ、持ち運びの邪魔にならないようなサイズであることがポイントとなります。
特別支援学校の場合、児童・生徒が避難する際には、一人ひとりが抱える障がいの特性が多様であることから、さまざまな困難が予想されます。児童や生徒によっては、避難している際にパニックを起こしたり、健康状態を損なうようになることも考えられます。
そのため、特別支援学校の防災マニュアルを作成する際には、医療面の対処法について細かな対応と、それぞれに合った備蓄品や使用品、薬品などを事前に書き出しておく必要があります。さらには保護者との連携方法なども不可欠です。