災害が発生した時、被害状況や安否確認などの情報をリアルタイムで正しく把握することが重要です。当記事では、現場の声をダイレクトに届けられるSNSを活用することのメリットや必要性について詳しく説明していきます。
ここでは、災害時におけるSNS分析の手法について詳しく紹介していきます。
テキストマイニングとは、多くのテキスト情報の中からさまざまな有益な情報を見つけられる技術のことを指します。
SNSやアンケートなどのデータを収集して分析すると、人の目ではチェックしきれない一定の法則を見つけたり、有益な情報を獲得したりすることが可能だと言われています。
すべて細かく分析するのは多くの時間を有するため、目的に応じた媒体を選び、テキストマイニングで概要を把握して、細かい分析に移行するのが一般的なやり方です。
また、テキストマイニングは、記入内容に含まれる単語や文節から出現する頻度や関係性などを定量的に把握することに繋がります。自由記述欄の記入内容は文章に規則性がないため、災害などへの住民の声の把握にはテキストマ イニングを用いるのが有効です。
フォトマイニングとは、写真や画像、動画を探索的に分析することによって、有用な知見を得られる分析手法を指します。前述したテキストマイニング同様、災害時に活用できる手法の1つです。
災害時のSNS分析の必要性について説明していきます。
SNSを用いると、災害が発生したエリアの被害情報の把握に役立ちます。発生エリア付近にいる方の安否確認がしやすくなるため、救助が必要な方への支援をスピーディーに行えるのもメリットだと言えます。
現時点で、どのような状況になっているのかの把握に繋がり、適切な判断がしやすくなります。避難場所や避難所の状況把握や、支援物資を得られる場所の確認を行えるのがメリットです。 これらのことから、災害時にSNS分析を用いることが必要だと考えられます。
ここでは、災害時のSNS分析の注意点について説明していきます。
Twitterの場合、フォローしていない人のツイートでも、閲覧制限がかかっていなければ自由に読むことが可能です。そのため、ツイートの情報が有益だと思えば、情報の真偽を確認せずにリツイートで拡散できるため、誤った情報やデマが広まってしまう可能性があります。
冠水や火災などを投稿しようとする場合、災害に巻き込まれてしまう危険性を伴うため、自治体などから、住民に対して積極的に投稿するような呼びかけは難しいと言えます。
ここでは、SNSを活用した災害分析の事例を紹介していきます。
対象としているのは、平成30年7月に起きた豪雨災害。この災害では、西日本エリアを中心に、広い範囲で記録的な大雨が降り、1府10県に特別警報が発表されました。
各地では、河川の氾濫や土砂災害が相次いで見られ、1府13県で200名を超える死者・行方不明者が発生するなど、甚大な被害が見られた災害です。
分析の対象とするSNS投稿データは、平成30年7月豪雨が発生した期間、7月1日~8月31日までの2ヶ月間のTwitter投稿です。
Twitterの投稿件数をチェックすると、発災直後や交通施策が公表された後、施策実施後などに増加していることがわかります。 「大規模災害発生後の交通障害とその対応に関するSNS投稿特性に関する基礎的研究」についてチェックすると、災害が起きた直後や交通施策が公表された後、施策実施後などに投稿件数が増加していることがわかります。
いいねの数が多い投稿内容は以下の通りです。
RT(リツイート)数が多い投稿内容は以下の通りです。
上記で紹介した「いいね」や「リツイート数」について、以下のことが考えられます。
発信者のアカウントのフォロワー数の大小との関連性は見られず,特に個人のアカウントは、フォロワー数以上の「いいね」や「RT」数を得ていることがグラフからわかりました。
以上のことから、災害が発生したとき、SNSユーザーは、緊急時に役立つ情報のうち、 出典元 が明確になっていて、信頼出来る情報を選んで拡散をしているという結果が出ています。
拡散される投稿の傾向性についてですが、交通に関しては、「災害時に役立つ情報」であり、「信頼性の高い情報」は、発信者のフォロワー数に関係なく拡散されています。
また、交通の状況に関しては、その現況を伝える投稿が多く発信されており、実施された交通施策や関連する情報の拡散が多数見られていました。研究結果から、信憑性の低い投稿の発信はほとんど見られなかったことも明らかになっています。
以上のことから、災害時の交通に関する情報は、比較的乱れを生じさせず、共助の精神で情報の拡散がされていたことがわかります。
災害が発生した時、行政機関は公式情報をなるべく発信していくと、地域住民に情報が行き渡る可能性が高くなると考えられます。
以上のことから、災害時に行政等がSNS投稿者の意見やニーズを把握し、それらを判断材料の1つとして、交通施策を展開することが有用だと考えられます。
災害が発生した時、被害状況や安否確認などの情報をリアルタイムで正しく知ることが大切です。
多くの人が日常的に利用するSNSを災害発生時の対応に生かそうと、自治体がAIなどを用いて、市民の投稿から情報収集する動きが広まりを見せています。
当サイトでは、企業向け災害情報・危機管理システム等を紹介しているので、災害時におけるSNS分析の有用性について知りたいと考えている方はぜひチェックしてみてください。