雷が落ちると、電源ケーブル(稀に通信ケーブルの場合もあり)を通じて強力な電流が流れ込み、パソコンやサーバなどOA機器の損傷や焼損を引き起こします。そうするとシステムがダウンして、業務の継続ができなくなるだけでなく、大切なデータを喪失してしまうかもしれません。
落雷時は周辺の電線などに、雷サージ電流と呼ばれる強い誘導電流が発生し、高圧受変電設備に流れ込むと、長時間の停電や周辺地域に様々な波及事故につながることがあります。
停電すると、電気を使う設備や機械が使えなくなり、病院や介護福祉施設などでは、人の命が危険にさらされる事態になりかねません。今や多くの企業で導入しているITシステムは大きな影響を受けます。
建設、商社、病院、自治体など、事業の継続さえ難しくなるでしょう。電車や地下鉄が止まり、通勤時間帯であれば、大きな混乱を招きます。大勢の人が行き来する高層オフィスビルでは、混乱が起きると大変危険です。停電時には、様々な場所での盗難も危惧されます。
停電で通信手段が断たれ、外部と連絡が取れなると孤立して、状況把握ができず、被害が拡大して犠牲者が増える可能性があります。
病院などでは、救急患者の受け入れがストップし、薬が処方できないなど、通常の診療にも影響が出るでしょう。離れた場所に拠点や工場がある場合は、現地の被害状況が確認できず、対応や支援が遅れてしまう恐れがあります。停電で信号機が使えなくなると道路が混乱し、物流に影響を及ぼします。
建物の一番高い所に避雷針を設置すれば、電流を安全性のある地表に流して、落雷による事故や火災が防げます。一般家電を雷から守るには、瞬間的に大きな電流を逃がすSPD(サージプロテクトデバイス)の設置が有効です。
停電には、自家発電機を備えておくと信頼性が高くなります。高層ビルでは、非常時に自家発電に切り替わる設備など多いことがありますが、自社で備えておく方が確実です。停電の影響を受けやすい駅や地下街を通る人は、避難口を確認しておきましょう。
災害時でも影響されにくい通信手段を用いた、災害用の連絡伝達手段を確保しておきましょう。情報収集し把握することで、適切な指示や情報提供ができ、従業員は冷静に対応できます。病院や工場では、必要なものを適正量備蓄しておくと信頼性が高くなります。
ばねや医療用コイルを製造・販売している会社で、台風による約48時間の停電被害が発生。東日本大震災がきっかけでBCP策定と防災マニュアルを作成、防災訓練などを行っていたので、混乱することなく対応できました。
クラウド型の安否確認システムで、従業員とその家族の安否を迅速に確認。重要なサーバ類は免震対策をし、太陽光発電を設置して電力を確保していたので、設備の稼働はできなかったものの、必要最低限の業務は継続できました。
冷凍食品の倉庫業を営む会社では、有事での停電では、電気が復旧するまでは冷凍庫を開けないことを、顧客にも周知し徹底しています。併せて大型の非常用発電機を設置。BCPに基づくチャート図を作成し、作業の安全性を高め、建物・設備、電源確保などの項目ごとに、やるべきことを記載しています。
顧客等の情報は、毎日自動でUSBメモリーにバックアップされ、情報システムは今後、クラウド化を行う予定です。安否確認システムを導入し、全社員への自動送信など、様々な対策を実施しています。
酒製造業を営む会社で、停電・浸水の被害が発生。非常用の発電機は、発酵室の温度管理設備を優先して供給するため、照明やパソコンの電源は落ちても、発酵室の管理を最優先しています。非常時の社員への連絡はLINEを活用。
発電機を備えていたものの、停電の影響で温度管理ができなくなり、仕込み中のお酒を廃棄する可能性が出てきました。通常の品質とは異なりますが、全社員が尽力して、なんとか販売にこぎつけることができました。廃棄のゼロも、実現しています。
災害対策の初動に差をつけると注目をあつめているのが、企業向けの災害情報システムです。各地で起こっている災害や事故情報を報道より先に受け取ることで、「現場で今、なにが起こってるのか」「次にすべきことはなにか」を把握できるため、防災はもちろん、事業継続(BCP)対策の観点から注目を集めています。